■ 女性に片頭痛が多い理由
片頭痛は男女差の大きい疾患で、男性よりも女性に約3倍多くみられます。
その大きな理由のひとつが「女性ホルモン(エストロゲン)」の影響です。
エストロゲンは脳内の血管や神経の働きに関わっており、その分泌量の変化が片頭痛発作を誘発することが知られています。
■ 月経と片頭痛
月経の始まる数日前から生理初日にかけて、エストロゲンの量は急激に低下します。
この「ホルモンの落差」が、脳の血管や痛みの神経に刺激を与え、頭痛を引き起こします。
特に、
月経のたびに頭痛が起こる
鎮痛薬が効きにくい
といった方は、「月経関連片頭痛(月経時片頭痛)」の可能性があります。
■ 妊娠中・授乳中の変化
妊娠中はエストロゲンが安定して高く保たれるため、片頭痛が軽くなる人が多いです。
一方で、出産後にホルモンが急激に下がることで、再び頭痛が再発することもあります。
授乳期には薬の選択に注意が必要なため、自己判断で市販薬を使わず、医師に相談しましょう。
■ 更年期と片頭痛
更年期ではホルモンの分泌が不安定になり、頭痛が一時的に悪化することがあります。
ただし、閉経後はエストロゲンが安定して低くなるため、片頭痛が軽くなるケースもあります。
この時期には、片頭痛だけでなく緊張型頭痛や肩こり、めまいなどを伴うことも多いため、
正確な診断と総合的なケアが大切です。
■ 治療のポイント
月経周期に関係して片頭痛が起きる場合、
発作時の痛みを抑える治療(急性期治療)
ホルモン変動に合わせた予防的治療(予防療法)
を組み合わせることで、コントロールがしやすくなります。
最近では、**CGRP関連薬(片頭痛予防注射)**や、月経周期に合わせた短期予防も有効です。
また、ホルモン補充療法(HRT)を行っている方では、ホルモンの種類や投与方法によって頭痛が変化することもあります。
そのため、婦人科と連携しながら最適な治療を行うことが望まれます。
■ 最後に
「ホルモンのせいだから仕方ない」と諦めてしまう方も多いですが、
現在は生活リズムの調整・栄養指導・最新の薬物治療などを組み合わせることで、
月経関連片頭痛を大きく軽減できる時代になっています。
女性のライフステージに合わせた頭痛治療で、
より快適な毎日をサポートしていくことが、当院の目指す医療です。













