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専門医が解説!突然の激しい頭痛 ― 脳の中で起こる出血の種類とは?

突然起こる強い頭痛。
その中でも最も命に関わる危険なものが「くも膜下出血」です。

しかし「頭の中で出血」と一言で言っても、その場所や原因によって症状や危険度はさまざま。
今回は脳神経外科専門医の立場から、脳内出血の種類と特徴についてわかりやすく解説します。


◆くも膜下出血とは

頭の中には「脳」を包む膜が何層もあります。
脳の表面やしわの隙間を包んでいる透明な膜が「くも膜」です。
この膜の内側で起こる出血が「くも膜下出血」です。

外傷を除けば、くも膜下出血の原因の約9割は「脳動脈瘤の破裂」といわれています。
一方で、交通事故などによる頭部外傷でも起こり、その場合は「外傷性くも膜下出血」と呼ばれます。

くも膜下出血は、脳の表面に出血が起こるため、突然の激しい頭痛が最大の特徴です。
ただし、手足の麻痺やろれつ障害などの「脳卒中らしい症状」は意外に少ないこともあります。


◆脳内出血とは

脳の深部にも細かい血管が張り巡らされています。
こうした脳の深い場所で起こる出血は「脳内出血」と呼ばれます。

多くの場合、原因は高血圧です。血圧管理をきちんと行うことで予防できる病気でもあります。
脳内出血は、出血した場所によって症状が異なりますが、手足の麻痺や言葉が出にくい、しびれといった脳卒中症状が現れやすいのが特徴です。
これは、脳内出血の原因となる「穿通枝(せんつうし)」と呼ばれる細い血管が、運動神経に関わる場所を養っているためです。


◆硬膜下血腫・硬膜外血腫とは

では、くも膜より外側に出血した場合はどうなるのでしょうか?

くも膜の外側にある厚くて固い膜を「硬膜」と呼びます。
その内側で出血が起こった場合は「硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)」、
硬膜の外側で出血した場合は「硬膜外血腫(こうまくがいけっしゅ)」と呼ばれます。

硬膜下血腫は高齢者や外傷後に起こりやすく、ゆっくり進行することが多いです。
硬膜外血腫は頭部外傷後に急激に悪化しやすいため、緊急手術となるケースも少なくありません。


◆くも膜と硬膜はこんなに違う

同じ「膜」でも、くも膜と硬膜は全く異なる組織です。
硬膜は一枚の分厚い“皮”のような膜。
一方、くも膜は非常に薄い膜が複雑に蜘蛛の巣のように何層にも重なり合っている構造です。
この構造から「くも膜」と呼ばれています。

さらにその下には「軟膜(なんまく)」という、より薄い膜も存在します。
厳密には軟膜の下に出血が起こることもありますが、その場合は通常「くも膜下出血」として扱います。

しかし実際の手術中、このような軟膜下血腫があるケースは非常に厄介であり、脳外科医は明確に区別して考えることがあります。

Minami N, Kimura T, Ichikawa Y, Morita A.
Emerging sylvian subpial hematoma after the repair of the ruptured anterior cerebral artery aneurysm with interhemispheric approach: case report.
Neurol Med Chir (Tokyo). 2014;54(3):227-30. doi: 10.2176/nmc.cr2013-0025.
Epub 2013 Nov 20. PMID: 24257490; PMCID: PMC4533413.


◆こんな症状があればすぐに病院へ!

  • 突然、今まで経験したことのないような激しい頭痛
  • 頭痛と同時に意識がぼんやりする、呼びかけに反応が悪い
  • 手足のしびれ、麻痺、言葉がうまく出ない
  • 吐き気や嘔吐がある

このような症状があれば、迷わず救急受診してください。
早期発見・早期治療が命を救います。


【まとめ】

頭痛と一言で言っても、隠れている病気はさまざまです。
特に、くも膜下出血や脳内出血は早期対応が大切。
「なんとなく不安」でも大丈夫です。
気になる症状があれば、ぜひお早めに脳神経外科を受診してください。

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